1G締め直しを行うことで、サスペンション部品に余計なストレスをかけず、正確なアライメントと良好な乗り心地を維持することができます。
当社ではアライメント調整や足回り交換の作業の際に1G締め直しをしています。
1G締め直しとは
1G締め直しとは、車の車高調整などでサスペンションのラバーブッシュ(ゴム製の部品)に生じたねじれを解放し、車全体のゆがみをリセットする作業のことです。
地球上では重力が常に働いており、これを「1G」と呼びます。車が地面に置かれているとき、サスペンション(車の足回り)は常に少し縮んだ状態になります。一方、車をリフトアップして作業を行うと、サスペンションは伸びきった状態になります。
リフトアップした状態でサスペンションの作業を行い、そのまま締め付けを完了してから車を地面に降ろすと、サスペンションが再び縮みます。このとき、ラバーブッシュはねじれた状態になり、そのまま走行すると、アーム類(サスペンションの一部)がスムーズに動かず、サスペンションが本来の役割を十分に果たせなくなります。
このような問題を防ぐために「1G締め直し」を行います。具体的には、足回りを交換した後、車を地面に降ろしてタイヤが地面に接地した状態(1G状態)で、ブッシュを固定しているボルトやナットを一度緩めてから締め直します。これにより、ラバーブッシュのテンション(ねじれ)が解放され、サスペンションがしなやかに動くようになります。
1G締め直しを行うことで、走行時にサスペンションがスムーズに動き、快適な乗り心地が得られるようになります。
なぜ1G締め直しが必要か
サスペンションの部品(特にブッシュやアーム類)は、車両の重量がかかった状態と持ち上げた状態では位置や角度が変わります。車をジャッキアップして作業を行った後、その状態でボルトやナットを締め付けると、車が地面に戻ったときにサスペンションの部品に無理な力がかかることがあります。これが原因で以下の問題が発生することがあります:
- 部品の早期劣化:ブッシュやアームに余計なストレスがかかるため、摩耗が早まります。
- アライメントの狂い:車両の姿勢が変わるため、アライメントが正確でなくなる可能性があります。
- 乗り心地や操縦性の悪化:サスペンションの動きが制限されるため、乗り心地や操縦性に悪影響を及ぼします。
下記のような効果が期待出来ます。
- アライメント調整の精度向上
- 走行時の安定性改善
- サスペンション部品の寿命延長
- ノイズや振動の低減
1G締め直しをしないとどうなる?
まず、車を持ち上げた状態でサスペンションの作業を行い、そのままボルトやナットを締め付けてしまうと、車を地面に戻したときにサスペンションが縮み、ラバーブッシュ(ゴム製の部品)がねじれた状態になります。この状態で走行すると、ラバーブッシュに余計な負担がかかり、早く劣化してしまいます。
また、サスペンションの動きがスムーズでなくなるため、車の乗り心地が悪くなります。路面の凹凸をうまく吸収できず、振動や衝撃が直接車内に伝わりやすくなります。
さらに、アライメントが狂い、タイヤの摩耗が不均一になる可能性があります。これにより、タイヤの寿命が短くなり、交換が早まることになります。
つまり1G締め直しをしないと、車の部品が早く劣化し、乗り心地が悪化し、タイヤの寿命が短くなり、全体的な車の性能が低下してしまうことが予想されます。